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視覚障害者の情報教育を支援するアプローチ(前編)

蓮尾高志

2020年度「破壊的な挑戦部門」の挑戦者に選ばれた蓮尾高志は、自身の経験に基づいて視覚障害者に対するAI・データサイエンス学習をサポートする必要性を感じ、異能vationプログラムへ挑戦した。

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文:山本貴也

2020年度「破壊的な挑戦部門」の挑戦者に選ばれた蓮尾高志の挑戦テーマは、「多様性を内包した持続可能なAI社会に向けたAI技術開発のアクセシビリティ改善」。具体的には、視覚に障害のある人々がAI開発やデータサイエンス学習をしやすくするための研究である。

もともと蓮尾は仕事でAI開発やデータサイエンスに携わっているが、学生時代に目の病気で目が見えづらくなり、学習に支障を来したという経験があった。その経験が、今回の研究につながっている。

「近年、システム教育の重要性が指摘され、多くの人がAI、データサイエンスを学ぶようになっています。日本でも学習指導要領が改訂され、高校の『情報』の授業でAIやデータサイエンスを学ぶことになりました。しかし、データサイエンスではグラフによって大量のデータを効率的に扱うケースがあるのですが、これまで視覚に障害のある方がグラフを扱う手段には限りがありました。そうした方がデータサイエンスの学習から取り残されやすいという課題感から、研究を始めました」と蓮尾は言う。

そもそもグラフは、数値の変化を”視覚的”に把握するための手段だ。蓮尾が利用したのは、数値の大きさと音の高さを紐づけることでグラフを把握できるようにする手法だった。数値が大きくなると音が高くなり、数値が小さくなると音が低くなる。ひとつのグラフに複数の折れ線グラフや棒グラフが入っているときは、それぞれで音色を変える。蓮尾は音によってグラフを把握するこの手法を発展させ、オープンソースで視覚障害者用ソフトの開発を進めた。

アメリカでは、障害のある人のプログラミング学習、データサイエンス学習に関して実践が進んでいる。メーリングリストを元にアメリカでデータサイエンスに携わる視覚障害者達にメールし、ソフトを試用してもらってフィードバックを受けた。

蓮尾が作っていたソフトでは、グラフをマウスでなぞるとあたかも手で触っているかのように音の高さが変わる仕組みを採り入れていた。しかしフィードバックを受けると、そもそもマウスを持っていなかったり、パソコンのマウスの機能をオフにして使っていない人がいることがわかった。

「そういった方のために、左右に動かせるスライダーUIを付けるようにしました。そうすると、キーボードで操作できるようになります。障害者の方々の状況を想像するようにはしているのですが、私は目で見ながら開発しているので、どうしても気づかないところが出てきます。実際に使ってもらってフィードバックをもらうのは重要です」と蓮尾は言う。

次回は、異能vationプログラム中の活動について話を聞く。

中編に続く


蓮尾高志プロフィール

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