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身の回りの“人”を素材にして遊ぶARカメラアプリ「ARama!」(前編)

守下 誠

人の体を切り取ってオブジェクトとしてAR空間に自由にコピペできるARカメラアプリ「ARama!」の開発に挑戦し続ける守下 誠。高専時代に学んだ電気工学と、大学時代の専門であるアートやデジタルが重なり合って、ARama! につながっていったという。

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取材・文:山本貴也

2020年度の異能vationプログラム「破壊的な挑戦部門」に選出された守下 誠の挑戦テーマは、ARカメラアプリ「ARama!(アラマ!)」の開発だ。ARama!は、人の体をオブジェクトとしてAR空間上に自由に配置できるアプリ。自分の体を縮小してコップのフチに座らせたり、拡大して巨人として街を歩かせたり、コピー&ペーストした自分を束ねて花束のようにしたり、現実にはあり得ないユニークな映像をAR空間上に作ることができる。一度体験すると「アラマ!」と驚くこと必至だ。

守下は、高等専門学校では電気科を専攻して電気工学を学んだ。しかし違うことがやりたくなり、大学では芸術工学部に所属。デザイン、アートなどのビジュアル表現を勉強しながら、プログラミングの知識を身に付けた。

大学を卒業して大学院専門の学校に進学したが、まだひとつのプロダクトもものにしていない状態。そこで出合ったのが、ARだった。

「それまでに電子工作や木工、3Dプリンティングなど現実空間に立ち現れるようなものづくりも経験していましたし、プログラミングによる映像表現などデジタルで完結するものづくりもやってきて、どちらも好きでした。その状態に、ARがすごくハマったんです。ARは、現実空間にデジタルな情報を重ね合わせる技術。現実空間のこともわかっていてデジタルな情報の伝え方もわかっていると、自由に扱うことができます。僕の肌に合っていたと思いますね」と守下は言う。

守下はARの研究を始めたが、そこで感じたのは既存のARには自由度がないことだった。「もちろん面白いものもありましたが、結局どれも誰かが作った3Dモデルとか出来合いの3Dエフェクトが目の前で再生されるだけ。向こうが作ったものをユーザーが受け取るだけで、受動的なんです。能動的に、ユーザーが自分の個性とか創造力をAR空間に映し出していくことができるアプリができないかなと思いました」というのが守下の説明だ。

そこで浮かんだのが、人の体をコピーして自由な発想でその場に置いたり、小さくできたり、複製できたりするアプリARama!のアイデアだった。これだと、作られたものを与えられるだけのAR空間ではなく、自分で面白いものを作っていけるAR空間が実現する。

プログラミングの知識もグラフィックデザインの経験もある守下は、早速ARama!のデモンストレーション版を作り、ツイッターにアップした。反応は上々。ただこの時点ではまだデモンストレーション版で、公にローンチできるものにはなっていなかった。そこでバージョンアップを図るため、異能vationプログラムに応募。そのユニークさが評価され、「破壊的な挑戦部門」に選ばれた。

次回は、異能vationプログラムでの開発について聞いていく。

中編(6月13日公開予定)に続く


守下 誠プロフィール

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