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口内や目の動きなどで動くウェアラブルデバイス「耳飾り型コンピュータ」(後編)

谷口和弘

「耳飾り型コンピュータ」を開発した谷口和弘の根底にあるのは、自分の世界を大切にする姿勢だという。また、そんな谷口に異能vationプログラムそのものの感想を聞いた。

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取材・文:山本貴也

2014年度の異能vationプログラム「破壊的な挑戦部門」に選出された谷口和弘は、耳飾り型コンピューター「earable」(イアラブル)のほかにも、大腿骨に内蔵して用いるインプランタブルコンピューターの「boneable」(ボーナブル)など、大変ユニークな作品を制作している。その根底にあるのは、自分の世界を大切にする姿勢だ。

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1983年、谷口が小学校の時、ファミコンが発売になった。周りの子供たちは夢中になっていたが、谷口はやらなかったという。「ゲームって、人が作った世界にうまく適合するのがプレイのコツだと思うのですが、人が作った世界に合わせるのがどうしても嫌でした」とその理由を語る。

ゲームよりも、田んぼの端で日干しの土偶を作ったり、川面に光が反射してキラキラと光るのをずっと見ているのが好きな少年だった。雪の日に大の字に寝て雪が降ってくるのを見ていたら、死んでいると思った大人たちが驚いて集まってきたこともある。

「川にしても雪にしても変わり続けて二度と同じ光景というのがありませんし、どう変わるかもわかりません。雲が動くと雲の隙間から光が差し込んで光り方が変わりますし、風が少しでも吹いたら雪の降り方は変わります。この『わからない』というのが面白かったんだと思います」と谷口は自己分析する。

開発した「halo」とケース

そんな谷口に異能vationプログラムへの応募を考えている人へのメッセージを聞くと、「世界には君以外には歩むことができない唯一の道がある。その道はどこに行き着くのか、問うてはならない。ひたすら進め」というフリードリヒ・ニーチェの言葉を紹介してくれた。

「ミュージカル映画『メリー・ポピンズ』に『スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス』(Supercalifragilisticexpialidocious)というタイトルの歌が出てきます。高まった気持ちをうまく表現できないときに『スーパーカリ〜』と唱えるという内容なのですが、イノベーション、異能vationもこれと似ているところがあると思います。イノベーションも、言葉ではうまく表せない、自分の心の奥底にあるものを形にする行為。ニーチェの言葉は、これを後押ししてくれます。サン・テグジュペリの『星の王子さま』にも『本当に大切なものは目に見えない』という言葉が出てきます。自分の心の奥底にあるものを感じ取り、それを恥ずかしがらずに表現して、人の心に届けてください」と谷口。イノベーションは、自分以外には歩むことができない道の先に待っている。


谷口和弘プロフィール

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