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次のコンピューティングを担う「量子コンピューター」(中編)

今まで誰も挑戦していなかった量子コンピューターに挑戦する湊雄一郎。2015年度「破壊的な挑戦部門」の挑戦者に選ばれたことで、さまざまなサポートを得て量子コンピューター用ツールの開発をさらに進めていった。

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文:山本貴也

湊雄一郎は、量子コンピューター用のツールの開発を進めていた。日本ではそのような研究者がほとんどいない中、手探りでのイチからの研究だった。そうしてツールはある程度完成したが、「せっかく作っても、日本でも海外でも誰も知らないので知名度を出したい」と異能vationプログラムに応募。2015年度の「破壊的挑戦者部門」挑戦者に選ばれた。

インタビューの前編はこちら

湊はそれまで自身のノートパソコンを使って開発を行っていたが、異能vationプログラムのサポートの下、高性能なGPUを導入したりスパコンを利用したりして、量子コンピューター用ツールの開発をさらに進めた。

そのひとつが、実際に量子コンピューターを使わなくても量子コンピューター用のプログラミングができるツールである。現在ではウェブを通じて量子コンピューターを利用できるサービスが提供されているが、当時はそのようなサービスはなく、量子コンピューターは手軽にアクセスできるものではなかった。量子コンピューターを使わなくてもプログラミングができるツールは、量子コンピューター用プログラミング制作の利便性を大いに高めるものだった。

また、プログラムするだけでは実際にどう動くかがわからないため、自宅のPCでも動作確認を行うことができるウェブアプリも制作した。

湊のblueqat社が提供する「AutoQAOA」は、量子コンピューターや量子回路シミュレーターの結果をウェブブラウザーで可視化できる

そのほかに制作したのが、シミュレーションツールである。当時は量子コンピューターへのアクセスはハードルが高く、普通のコンピューターで量子コンピューターの動きをシミュレーションするようなツールが必要とされていたためだ。普通のコンピューターに疑似量子コンピュータを入れるようなイメージだ。

こうしたツールやアプリはほかに手掛けた人がほとんどおらず、未開拓の領域を切り拓いていくことになる。しかし、湊はほとんど困難を感じなかったという。

「量子コンピューターを研究する数少ない研究者の一人だった慶應義塾大学の田中宗先生にアドバイスをいただいたりはしましたが、ほとんど苦労なく進みましたね。おそらく、私は量子コンピューターに向いていたんだと思います。量子コンピューターが難しいと思ったことは1回もありません」と言う。

量子コンピューターの実用化にはあと20年かかるとも言われており、湊も長期にわたり量子コンピューターに関わっている。長く研究・開発を継続できるのも、「向いている」からだという。

「長くやっているので、さすがにモチベーションは続きません。しかし、自分が得意なことをやっているので、モチベーションがない代わりにストレスもまったく感じないんです。すごくやりたいというわけではありませんが、やりたくないわけでもないという、ニュートラルな状態。これが長く続くためには重要な気がします」というのが湊の自己分析だ。

次回は、異能vationプログラム以降の活動について話を聞く。

後編に続く

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