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次のコンピューティングを担う「量子コンピューター」(後編)

2015年度「破壊的な挑戦部門」の挑戦者に選ばれた湊雄一郎は、量子コンピューターのハードウェア開発にも乗り出している。
文:山本貴也

2015年度異能vationプログラム挑戦者に選ばれた湊雄一郎は、プログラム以降も量子コンピューター用ツール、アプリの開発を進めた。AmazonやNVIDIAといった大手IT企業と組んで仕事をすることも多く、量子コンピューターの世界のトップランナーの1人として活躍している。

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湊が力を入れているのが、量子コンピューターを身近な存在にするツール、アプリだ。

量子コンピューターのプログラミングは専門性が高く、ハードルが高い。そこで、難しいプログラミングなしでボタンをクリックして数字を入れれば、誰でも量子コンピューターで特殊な計算ができるアプリを開発した。

また、量子コンピューターの小型化も手掛けている。現在の量子コンピューターは大型で、高さが3.5mほどもあり、個人が導入するのは難しい。そこで1辺1m、高さが人間の身長ほどの、家庭用冷蔵庫くらいの小型の量子コンピューターの開発を進めており、2023年末のリリースを目指している。

次世代型の新型量子コンピューター

湊ののblueqat社が開発を進めている、次世代型の新型量子コンピューターのハードウェアのイメージ

将来を見据えて量子コンピューター用アプリの開発が活発になってきているが、量子コンピューターの実用化には、まだ時間がかかると言われている。その理由のひとつが、エラーの発生だ。量子コンピューターは量子の「重ね合わせ」や「もつれ」を利用して超並列処理を行うが、この現象は環境の影響を受けやすく、微細な宇宙線などのノイズがエラーの原因になる。

このエラーに対しては、エラーの増大率から正しい結果を推測する方法など、世界中でさまざまな対策が考えられているが、湊は量子コンピューターと最新のスパコンをハイブリッドで使う方法を研究している。

「簡単に言うと、回路でつなぎ、量子コンピューターのエラーをハイパフォーマンスなスパコンで直しながら計算するというソリューションです。それぞれに得意不得意があるので、量子コンピューターの得意なところとスパコンの得意なところをつなぎ合わせる発想ですね。この3年くらいで実現したいと思っています」と湊は目を輝かせる。

湊は画期的なツールやアプリ、ソリューションで世界的に評価される存在となっているが、以前はほとんど誰に知られることなく量子コンピューターのためのツールを作っていた。その状況が変わる契機になったのが、異能vationプログラムだった。「まだ世間に知られていない技術が世の中にはたくさんあって、そのうちの何が当たるかはわかりません。異能vationに採択されるとさまざまなメディアで取り上げられるため、確実に知名度が上がります。社会に広めたいものがあるけど、どうやって広げたらいいかわからないとき、一番いいのが異能vationプログラムだと思います。ぜひ応募してみてください」。これが、異能vationプログラムから世界に羽ばたいた湊のメッセージだ。

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