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生物的・植物的な動きをハードウェアで表現する「うねうねわらわらアニマトロニクス」(前編)

中安 翌

256本のシリコンチューブが「うねうねわらわら」と駆動する「うねうねわらわらアニマトロニクス」。作者である中安 翌は、いかにしてその発想にたどり着いたのだろうか。

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取材・文:山本貴也

2016年度の異能vationプログラム「破壊的な挑戦部門」に選出された中安 翌の「うねうねわらわらアニマトロニクス」は、バイオメタルを用いたアクチュエーター(駆動装置)によって、256本のシリコンチューブが「うねうねわらわら」と駆動する作品。その様子は海中をたゆたうイソギンチャクさながらで、幻想的な美しさをたたえている。

「生物的、植物的な動きを、CGなどではなく実体で完璧に制御できたら面白い」。この発想が中安の原点だった。2009年には、風にそよぐ草のイメージに想を得た「plant」を制作。169枚の人工の葉が手の動きに反応して、インタラクティブにゆっくりと動く作品だ。

2009年の作品「plant」

この作品で中安がアクチュエーターに採用したのが、形状記憶合金である。最初は空気圧やモーターを使ったアクチュエーターも検討したが、モーターだと動きが滑らかにならず、カクカクっとした挙動が残ってしまう。空気圧では数百個以上のアクチュエーターでは制御部分が大きくなりすぎる。

「生物や植物の動きは、非線形で滑らかです。でも、モーターだと動きが線形になってしまうんです。空気圧でも制御系のサイズの問題だけでなく、自分がイメージした緻密な動きは実現できないと感じました。生物や植物の動きの滑らかな動きに近づけるには、どうしたらいいか。さまざまな方法を模索した末、目を付けたのが形状記憶合金でした」と中安は振り返る。

中安は既存の形状記憶合金を加熱して、独自の形状記憶合金を開発。4秒ほどかけて非線形にゆっくりと曲がる、中安がイメージする植物の動きを実現した。

「plant」で植物に挑んだ中安は、次に生物に取り組むことになる。そして2010年にできたのが「Tentacles」だった。 この作品も「plant」と同じように形状記憶合金のアクチュエーターを使用しているが、動くのは葉ではなく55本の触手。赤外線カメラの映像が制御信号に変換され、手を動かすとイソギンチャクが波打ち際でゆらめいているように触手が動き出す。

中安は「Tentacles」の開発を続け、2016年には発展形の「Luminescent Tentacles」を完成させた。この「Luminescent」では、形状ではなく長さを記憶する特殊な形状記憶合金「バイオメタル」を使用。触手は256本にまで増えている。

バイオメタルを使用した「Luminescent Tentacles」

「触手の数も動きもある程度納得できるものになったのですが、『Luminescent』は平面に触手を取り付けたもので、全体の形は実際のイソギンチャクのようになっていませんでした。全体を立体構造にするなど、進化させる余地がまだいろいろとあったんです。そこで前から知っていた異能vationプログラムに応募して、サポートを受けようと考えました」と中安は言う。

次回は、異能vationプログラムでの開発について聞いていく。

中編に続く


中安 翌プロフィール

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