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太陽光で部屋の中に花が咲く「ソーラー花電 ヒカルカ」(前編)

花園園恵

2020年度の「破壊的な挑戦部門」に選出された花園園恵は、それ以前から太陽光発電の美しい活用について取り組んでいた。そして、異能vationで挑んだのが、日中に太陽光を取り込み、夜に花が咲く観葉植物型の「ソーラー花電 ヒカルカ」だ。

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取材・文:山本貴也

2020年度の異能vationプログラム「破壊的な挑戦部門」に選出された花園園恵が挑んだのは、「ソーラー花電 ヒカルカ」。植物が光合成するように、日中、葉の部分に仕掛けたソーラーパネルが蓄電する。そして、夜になると花びらがゆっくりと開く。幻想的な、ロボット観葉植物だ。

花園はもともと建築士として仕事をしており、地域コミュニティー施設や住宅などの設計デザインを手掛けていた。その中で違和感を感じていたのが、屋根の上に載せるソーラーパネルだった。

「考えて作っているのならいいのですが、あとから載せた感がすごくあって、景色を損なうものをよく見ていました。太陽光発電自体は素晴らしいと思っていますが、美しい街並みの中で瓦の上に暴力的にソーラーパネルが載っているのが許せなくて、何か違う形で太陽光発電ができないかなと思い始めました」

そこで、頭に浮かんだのが植物だった。花園は家の中を観葉植物だらけにしているくらい、植物好きだという。植物は、いってみれば太陽光発電のプロ。南向きに一枚板で設置するだけのソーラーパネルとは異なり、葉はさまざまな高さでさまざまな方向を向いており、1日の、また季節による太陽の変化に応じて葉の向きを微調整する。「1m四方の場所で発電させるのなら、植物の形を借りるのが一番効率的です。植物に倣った太陽光発電の仕組みを作りたいと思いました」と花園はいう。

そしてできたのが、庭に植えたら発電するというコンセプトの「ソーラープランツ」だ。これは、植物が葉を広げるようにしてソーラーパネルが広がっており、ソーラーパネルに蓄電した電気によって明かりが灯るようになっている。ソーラーパネルの向き、角度には、植物の葉の生え方を研究した成果が反映されており、効率的に蓄電が行われる。

ソーラープランツのバリエーションのひとつ、「ホウセンカ」(2010年)

ソーラープランツはエコフレンドリーなシステムとして評価され、常夜灯として銀行の駐車場などに設置された。しかし、ソーラープランツは屋外に置くことを想定している。花園は、自分が好きな観葉植物のように家の中に置けるものを作りたいと思っていた。

そんな折、家電メーカーが室内でも発電できるソーラーパネルを開発したという情報を得た花園。普通のソーラーパネルは太陽光によって発電するが、このソーラーパネルは室内灯など人工的な光によっても発電できる。「これを使えば、観葉植物型のソーラープランツが作れると思いました」という花園は、異能vationプログラムに応募。実は最初の応募では採択されなかったが、コンセプトをブラッシュアップし、3回目の応募で「破壊的な挑戦部門」に採択されたという。

次回は、異能vationプログラムでの開発について話を聞く。

中編に続く


花園園恵プロフィール

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