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新着想の電子楽器「UDAR」(前編)

宇田道信

バイオリンのような無段階音程とピアノのような和音演奏性を併せ持った電子楽器「UDAR」。その開発者である宇田道信に、UDARの概要や着想の経緯などを聞いた。
取材・文:山本貴也

楽器をやりたくて始めたけど、難しくてやめてしまった──。そんな経験がある人も、2015年度の異能vationプログラムで破壊的な挑戦部門に選出された宇田道信の「UDAR(ウダー)」なら楽器演奏が続けられるかもしれない。

UDARは、バイオリンのような無段階音程とピアノのような和音演奏性を併せ持った電子楽器だ。筒状の本体の左右に圧力センサーが螺旋状に巻かれており、圧力センサーに触れると音が鳴り、触れる強さで音量が変わる。そして、指を滑らせると滑らかに音の高さが変わっていく。圧力センサーは1周1オクターブで6周巻かれており、異なる場所の圧力センサーを同時に押せば和音を出すことができる。音楽的な知識がなくても感覚的に演奏を楽しめる、まったく新しいタイプの楽器だ。

もともと音楽経験がなかった宇田は、大学1年の時にクラシックギターを始めた。そこで感じた違和感が、UDAR開発のきっかけになった。

「楽器を弾く楽しさを覚えたのですが、世の中に普及している楽器は絶対音感があると演奏しやすいような仕組みになっていて、ちょっと非効率だなと思ったんです。カラオケだと、相対音感しかなくても聴いたことがある曲は歌えますよね。そういう感じで弾ける楽器があればいいのに、と自分の理想の楽器を考えるようになりました」

メロディーだけでなく、伴奏まで1人でやりたい。ピアノのように和音も弾きたい。ドレミファソラシド以外の音も出したい。そうした条件をすべて満たす、かつてない楽器への探求が始まった。

「考え始めて2ヵ月ほどで、1周1オクターブで螺旋状に巻くというインターフェースを思いつきました。しかし、この時に作ったのはボタンが螺旋状に並んでいるだけのもの。音量の調節ができず、音程も半音単位でしか出ません。フレットレスに無段階で音程が変わるという理想とは程遠いものでした」

大学時代に取り組んだUDAR 1.0

大学で情報工学科に所属していた宇田は、専門外である電子回路やロボット工学などを勉強しながら、開発を進めていく。

転機となったのは、ロボットハンドの圧力センサーの研究を行っていた下条誠氏(現・電気通信大学名誉教授)との出会いだった。下条氏の圧力センサーを応用すると、触れる強さで音量が変わり、音の高さも無段階で変わる仕組みが作れるようになる。

理想の楽器への筋道が見えた宇田は、UDARの開発にのめり込んでいった。大学卒業後は、半導体メーカーに就職。UDARの開発に役立ちそうだから、というのがその理由だ。しかし、働きながらだと開発になかなか力を入れることができない。そこで1年半ほどで退社。独立して、自営で仕事をこなしながらUDARの開発を進めた。

その結果、完成したのがUDAR 4.5だった。このUDAR 4.5には、当初想定していた機能をほぼ盛り込むことができた。音程は無段階に変わり、左右の手を使うことでメロディーも伴奏も演奏でき、ピアノのように和音を出すこともできる。

「開発が長くなりすぎたことによるマンネリ化でしょうか。これでもういいかなと思いつつ何か足らないような気もする、自分でもよくわからないような状態なっていたんです。そんなときに見つけたのが、異能vationのプログラムでした。このプログラムに採用されれば、これまでとは別の新しいUDARを作れるかもしれないと思い、応募しました」

次回は、異能vationプログラムでのUDARの開発について聞いていく。

宇田道信

異能vationプログラムに挑戦当時のUDARを弾く宇田

中編に続く


宇田道信プロフィール

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