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小説やゲームの制作を助けるシナリオ作成支援AI「BunCho」(後編)

2020年度「破壊的な挑戦部門」の挑戦者である大曽根宏幸は、シナリオ作成支援AI「BunCho」を拡張して、マンガの作成にまで取り組んでいる。
文:山本貴也

大曽根宏幸は、異能vationプログラムが終わったあともシナリオ作成支援AI「BunCho」の開発を続けている。BunChoではキーワードを入力すると小説のタイトル、あらすじ、プロットを自動生成できるようになっているが、AIをアップデートしてその精度を向上させた。また、ユーザーがプロットを流し込めばAIが自動的に本文を埋める機能も考えている。

(インタビューの前編はこちら

BunChoを通じて大曽根が思い描いているのは、誰もが小説を書けるようになる未来だ。「小説を書きたくても、書けないでいる人は少なくないのではないでしょうか。BunChoは、そうした人の手助けになると思います。何か書き上げるとやっぱり達成感がありますし、友達に見せると共通の話題ができて楽しいといったこともあります。みんな、自分ならではの体験、悩みなどがあるはず。そうしたことを基に、いろんな小説が出てくると面白いなと思っています」と語る。

また、大曽根が表現方法として意識しているのは小説だけではない。異能vationプログラム中には、小説を基にしたノベルゲームの開発にも着手した。そのあとに力を入れているのがAIによるマンガの自動生成だ。すでに自分が作ったプロットを用い、画像生成AIを使ってマンガを作る試みを始めている。

「マンガだったら画像で描写ができるので、自分みたいに文章による描写が苦手だった人も、マンガなら表現ができるということがあると思います。ストーリーや世界観のアイデアがあったら、AIの助けを借りながら、小説、ゲーム、マンガの中から自分に合った方法で作品が作れる。そんな風になればいいなと思います」と大曽根の夢は広がる。

自動生成文からのキャラクター自動認識と立ち絵表示

マンガ作図生成機能の図

マンガ作図生成機能の図

大曽根がBunChoを最初にローンチしたのは、2020年5月。異能vationプログラムの1年を挟み、開発はすでに4年目に入っている。異能vationプログラムへの応募を考えている人へのアドバイスを聞くと、「せっかく時間をかけてやることなので、楽しく付き合えるテーマで応募するといいんじゃないかなと思います」という答えが返ってきた。大曽根のような小説の執筆をサポートするという誰も手掛けたことのなかったAIに限らず、革新的なモノの研究・開発には時間を要する。そして時間をかけるには、「楽しく付き合える」ことが重要な鍵となる。これが大曽根のメッセージだ。

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