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衣服に生命感を吹き込む「依リシロ」(前編)

加山晶大

モノと人との間でコミュニケーションが発生するユニークなハンガー型デバイス「依リシロ」。2020年度の異能vationプログラム「破壊的な挑戦部門」に選出された加山晶大が目指すのは、“豊かさ”を持ったインターフェースだ。
文:山本貴也

2020年度の異能vationプログラム「破壊的な挑戦部門」に選出された加山晶大の「依りシロ」を前にすると、不思議な感覚に捉われずにいられないだろう。ハンガーに掛かった服が、自分の動きと連動して動き出す。手を上げると、服の袖も意思を持ったかのように上に動く。服というモノと人との間でコミュニケーションが発生する、とてもユニークなデバイスだ。

依りシロ

「OPEN異能vation 2021」のブースで展示された「依りシロ」

加山は以前、ウェブのサービスやアプリケーションなどのソフトウェアを開発するウェブエンジニアとして働いていた。その頃多く出始めたのが、IoTに代表されるソフトウェアとハードウェアが融合したデバイスだった。ネット上で完結するソフトウェアではなく、リアルな世界で機能するハードウェアを通じたコミュニケーションに関心を持った加山は、海外の文化に興味があったこともあり、ロンドンの大学院に留学する。

大学院で加山が選択したコースは、人と人、人とモノの間のインタラクティブなコミュニケーションを、動きを伴ったプロダクトや表現で実現する方法を研究するものだった。周りの学生も、ロボット技術やXRなどを使って新たなインタラクティブなコミュニケーションを探求していた。

そこで加山の研究のヒントとなったのが、ディズニーのアニメーションだ。コミュニケーションデザインをする際、アニメーションのセオリーをベースにすることは珍しくない。そうした場合、アニメーションの物語性や世界観を採り入れることが多いが、加山はその動きに着目した。

ディズニーのアニメーションでは、ミッキーマウスが伸び縮みするような表現がよく使われる。ディズニー傘下のピクサーの映画でも、冒頭のクレジットムービーでライトスタンドが折れ曲がったり、伸びたりする。

「ディズニーのアニメでは、柔らかさとか伸縮性によって感情などを表現することが重視されていると感じたんです。モノにそうした動きをつけることで、ただ便利なだけじゃなく、豊かさが感じられるインターフェースができるのではないかと考えました」と加山は振り返る。

そのアイデアにピッタリだったのが、衣服だった。木板やアクリルをサーボモーターでつないで可動性のある骨格を作り、それに服を被せる。そして、モーションキャプチャー用のカメラで人の動きを捉え、その動きと骨格が連動するようにすると、服が意思を持ったかのように動くようになる。

こうしてできた「依りシロ」をデモで動かすと、周りからは上々の反応が得られた。しかしユニークなモノができたものの、どのようなニーズで、どのように使われ得るものなのかがハッキリと見えてこない。さらなる発展を求めて、異能vationプログラムへの応募を決めた。

次回は、異能vationプログラム中の活動について話を聞く。

Yudai Kayama

中編に続く


加山晶大プロフィール

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