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医師の技術だけでは救えない命を救うスマホゲーム「うんコレ」(後編)

石井洋介

スマホゲーム「うんコレ」を遂に正式リリースした石井洋介だが、異能vationプログラムに選出されたことがその大きな後押しになったという。
取材・文:山本貴也

「うんコレ」を開発した石井洋介には、異能vationプログラムに参加することでさまざまなポジティブな影響があった。

(インタビューの前編はこちら

いろいろな展示会から出展の誘いを受けるようになったのが、そのひとつ。また、同じ2019年度に「破壊的な挑戦部門」に選ばれた藤原麻里菜などと話をする機会があり、普段知り合えないような異能友達ができたことも嬉しかったという。

うんこツンツン

さまざまなタイプのうんこを擬似的に触れる「うんこツンツン」も開発

「もうひとつ大きかったのが、アップルの審査に通ったことです。以前、「うんコレ」をApp Storeに入れてもらおうと申請したことがあったのですが、落ちてしまいました。しかし、日本の総務省の賞を受賞していることを英語でアップルに伝えたら、審査を通してくれました。異能vationプログラムのおかげでApp Storeにリリースできたと言っても過言ではないと思います」と石井はその影響を語る。

うんコレは現在約3万ダウンロードされており、排便のデータが56万データほど集まっている。内視鏡の会社と協力し、このデータと内視鏡で実際に検査したときのデータをつなぎ合わせる試みも新たに行っている。「便のデータを56万件も集めた人はまだいないので、医療的にも興味深いデータになりそうです」と石井は期待を寄せる。

現在石井が大きな興味を持っているのが、在宅診療にICTの力を活用することだ。医療は病院の中だけではもう間に合わず、完結しない。病院の外側での医療を拡張させることが重要になる。

たとえば、医師が病院に来て下さいと言えるシチュエーションは少なく、基本的に医師は待ちの状態だが、家と病院をICTでつないで症状の情報を医師が見られるようにすれば、「すぐ検診したほうがいい」「今後年に1回は検診を」など、症状に合わせて個別性を持ってプッシュすることができるようになる。

「病院に行く前の段階にいる人に対してその人に応じたアドバイスすることができますし、病院を出たあとの在宅医療にも適しています。ICTと病院の外の医療は相性がいいんですね。こうした病院の外の医療に関わることには、ぜひ積極的に関わっていきたいと思います」と石井は目を輝かせる。

石井は最後に、こんなメッセージを残してくれた。

「うんコレも、ゲームの世界に投げ込むにもちょっと前衛的すぎるし、医療の世界に対しても前衛的すぎるものでした。でも、そういった既存の世界に嵌らないものが異能vation、イノベーションのタネだと僕は思っています。どこの世界に役に立つんだろうと自信がないものこそ応募して欲しいですね」

石井洋介

どこにも嵌らないアイデアだったものが、異能vationプログラムで可能性が広がった。この実感から出た石井の言葉である。


石井洋介プロフィール

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