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“声を浴びる”という新体験「声シャワー」(後編)

たいがー・りー

“たいがー・りー”「声シャワー」が持つ「時を超える」という性質にも着目している。メディアに元の声を記録してしまえば、1000年先でも声を浴びられる可能性があるのだ。
文:山本貴也
余白

たいがー・りーの作品発表サイト「余白」

たいがー・りーは、「声シャワー」でさまざまな展開を構想している。そのひとつが、アイドルとのコラボレーションだ。

(インタビューの前編はこちら

「みんな、推しのアイドルの声を浴びるという体験はおそらくしたことがないでしょう。声シャワーから推しのアイドルの声が出てきたら、幸せになる人、元気になる人がたくさんいるはずです。この展開が何とかできないかなと思っています」と声を弾ませる。

たいがー・りーは、自称「放課後片想い系妄想発明家」。妄想はさらに膨らむ。例えば、録音データが1000年前にあったとしたら、声シャワーで聖徳太子の声を浴びることができる。100年前にあったら、アインシュタインの声のシャワーだ。だとすれば、1000年後に残すべき声は何だろう……。「シャー」という声を録音しておけば、1000年後の人は1000年前の偉人の声を浴びられることになる。

「有名人とは限らないですよね。自分の声を残しておけば、孫やひ孫がおじいちゃん、ひいおじいちゃんの声を浴びられるようになります。そのようにして、血のつながりのある人の声を浴びたとき、何か特別な感覚が生まれるのではないかと思うんです」と、たいがー・りーは自分の発明が未来に使われるシーンに想像を巡らせる。

ただ、未来に夢を見ているのは声シャワーだけではない。たいがー・りーは多作で、これまでに発明した作品は200を超えている。僕は何か作るとき、基本的に見せるまで誰にも言わないようにしているんですよ。自分の脳みその中をバッと見せたときに、みんながどんな風な反応をするのかが楽しみなんです」と笑う。

最後に、異能vationプログラムへの応募を考えている人へのメッセージを聞くと、「メッセージというのはおこがましい感じがするのでちょっと控えますけど」と言いながら、こんな言葉を残してくれた。

「頭の中に浮かんだものは出してみて、それをみんなに見てもらうと、何か思いも寄らないところに連れて行ってくれるかもしれないよと思います。声シャワーなんかまさにそうで、好きな人の声を浴びたいっていうところから始まって趣味で作ったものを応募したら、ちょっと面白いかもねって言っていただいて選出され、普段だったら絶対話せないような大学の先生とか声の専門家の先生とかと知り合うことができましたし、こんな風にインタビューを受けるような機会もできるようになりました。頭の中のものを外に出して応募したら面白いことが起こるかも、今まで経験できなかった世界に行けるかもしれないよって、伝えたいですね」

頭の中に浮かんだものを外に出した作品が、新たな出会いのある、新しい世界を切り拓く。

たいがー・りー

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