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“無駄”の面白さを追い続けるYouTubeチャンネル「無駄づくり」(前編)

藤原麻里菜

一般的な実用性からはかけ離れた発明を動画で届ける藤原麻里菜のYouTubeチャンネル「無駄づくり」。藤原はなぜその発想に至ったのだろうか。
取材・文:山本貴也

異能vationプログラムに選ばれる研究やアイデアはユニークなものばかりだが、基本的には何らかの意味で人の役に立つ実用性を有している。しかし、2019年度の「破壊的な挑戦部門」に選出された藤原麻里菜が追求しているのは、“無駄なものづくり”。プログラムに採択されたときのテーマも「YouTubeチャンネル『無駄づくり』にて無駄なものを作り続ける」だった。

「怒ると勝手にひっくり返るちゃぶ台」「札束でぶたれるマシーン」「フォトジェニックを台無しにするマシーン」「会議の雰囲気をいい感じにできるマシン」など、チャンネルにアップされている動画のタイトルを見ただけでも、藤原の作品は一般的な意味でいう実用性からはかけ離れていることがわかる。そこから感じられるのは、人間の暮らしに対する藤原独自の視点とユーモアだ。

YouTubeチャンネルは登録者が10万人超、Instagramのフォロワーも6万人に達しており、世界中にファンを持つコンテンツクリエイターとして藤原は日々、活発に活動を続けている。しかし、その原点には挫折があった。

 

藤原は、工作でいろいろなものを作ったり、絵を描いたりするのが好きな子供だった。小学生の頃は、一所懸命に何かを作ると先生から褒めてもらえる。それが中学・高校と進むと、作ったものがきれいではなかったり、うまくできなかったりしたら失敗だと見なされるようになった。「私は美術が好きだったんですけど、うまくできない人は美術をしてはダメだと思われるところがありました。それでちょっとした挫折がありましたね」と藤原は言う。

「何か面白いことをしたい」と思っていた藤原は、美術の世界から一転、NSC(吉本総合芸能学院)に入って芸人を目指すことになる。しかししばらくすると、舞台に立つこともあまり向いていないことがわかった。

そこで試してみようと考えたのが、さまざまな動画投稿者がYouTuberとして注目を集めるようになっていたYouTubeでのチャンネル開設だった。

最初に作ったのは、ピタゴラスイッチだった。ボールを転がしたら醤油が自分の手元に来る仕掛けにしたつもりだったが、うまく作動しない。「そのうまくできない感じが、とても面白いと思ったんです。そこから、無駄づくりが始まりました」と藤原は言う。

欲求が満たされないシチュエーションやストレスを抱える場面など、生活の中で問題が浮かんだらそれを解決する観点でアイデアを考える。そして、自分なりのやり方で解決できるものを作り、そのプロセスを1本の動画にしてYouTubeにアップする。「すると、みんな割合面白いと言ってくれて、観てくれる人が増えていったんです。こういうものでも発表することで観てくれる人がいるんだとわかったのは発見でしたね」。藤原は次々と無駄づくりの動画をアップし、人気YouTuberの1人となった。しかし内心、藤原は満たされない思いを抱いていたという。

次回は、異能vationプログラムへの応募について聞いていく。

Marina Fujiwara

中編に続く


藤原麻里菜プロフィール

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