一般財団法人電力中央研究所は2月6日、二重構造を持つ半導体ナノ結晶を用いて作製した電界効果トランジスタが従来を上回る大きな光電流増幅効果があると発表した。

コアシェル型ナノ結晶と薄膜トランジスタ構造の模式図

早稲田大学およびスイスのFluxim AGのグループとの共同研究。電界効果トランジスターは様々な電子回路やデバイスで用いられる基本的な素子で、環境の変化や光照射などの外部刺激によって流れる電流値が変わるためセンサーとしても利用することができる。

研究グループでは、電界効果トランジスタの光応答性の向上を目的として、カドミウムとセレンのコアをカドミウムと硫黄のシェルの二重構造を有する直径10nmレベルのナノ結晶を作製。コア部分の直径やシェルの厚みを変えることで物理的・化学的な性質を変化させる実験を行なった。作製したトランジスタに紫外線を照射した場合の電流値の変化を測定した結果、数層レベルの薄膜では電流が10万倍に増大することを明らかにした。この電流値の増幅は、これまでに知られているどの材料を用いた電界効果トランジスターよりも大きく、光センサーとしての高いポテンシャルを持つという。

この研究結果はすぐに実際のデバイスに直結するものではないものの、高性能光センサーの新たな原理として提案、将来におけるより高感度の光センサーの開発に繋がる研究としている。研究成果は1月29日付でドイツの電子材料研究に関する論文誌「Advanced Electronic Materials」に掲載されている。

光照射による電流値の増大(左)、膜厚とゲート電圧に対する電流値の変化(右)